健康のため、 手軽に取り組める”ウォーキング”。
一日どれくらい歩くと体に良く、 どんな効果があるのでしょうか。
そこでここでは、 ウォーキング方法のポイントや、その効果についてご紹介します。
ウオーキング時の歩数と強度が健康に関係
18年以上にわたる長年、 5000人を超える65歳以上の人に、日頃の運動や睡眠、食事など、生活の様子について詳細なアンケートを実施。
さらに、その中の500人からは、 身体活動計を使い、 日常の運動強度や、 活動の時間など生活に関わる重要なデータを収集し続けてきた結果、分かったことがあります。
それは、病気を遠ざけ、健康でいられるかどうかは、生活習慣に占める「歩数」と「運動の強度」に大きく関わっているということです。
がん、動脈硬化も予防
調査の結果、「一日の歩数」と「中強度(※参照)の運動時間」の程度によって、予防できたとみられる病気に次のような違いがありました。
①1日4000歩と中強度の運動5分で、うつ病予防に。
②5000歩/同7.5分で、うつ病に加え、認知症、心疾患、脳卒中を予防。
③7000歩/同15分は、①②の病気に加え、がん、動脈硬化、骨粗しょう症の発症を抑える。
④8000歩/同20分の人は、①②③の病気に加え、高血圧症、糖尿病、脂質異常症の発症率も低い。
そして、1万歩/同30分はメタボリック症候群も、1万2000歩/同40分の人は肥満も解消しました。
しかし、1万2000歩以上の運動になると肥満対策にはなっても、病気の予防効果は頭打ちでした。
※中強度 活動(運動)の強さは、「低強度」「中強度」「高強度」に分類される。 一般に中強度とは、早歩きや階段を下りること、水中歩行など。 家事だと掃除機やモップがけ、草むしりなどが当たる。 ただ、年齢や性別によって運動強度は変わる。
8000歩のうち速歩き20分
健康で長生きするためには「一日8000歩」、そのうち「中強度のウオーキングを20分」が、健康長寿の方程式です。
中強度の運動とは、ウオーキングだと速歩きに相当します。
「体力的に8000歩なんて歩けない」という人は、「5000歩/7.5分」を目指してください。
このレベルまで来れば、命に関わる多くの病気が予防できていることになります。
日常の歩行に、さっそうとした速歩きを取り入れ、長い健康生活を過ごしましょう。
ウオーキング実践4ポイント
話せるが歌えない速さ
ウオーキングでの中強度とは、3分以上速歩きを続けた時に「なんとか会話ができるが、歌は歌えない」状態。
散歩では低強度、競歩だと高強度の運動になります。
速歩きの時は、歩幅を意識し、普段より大股で歩いてください。
「ピッチ(足の回転数)は?」と疑問になりますが、人はそれぞれ自分にあった歩幅とピッチの関係があります。
大股で速くを意識すると、ピッチは自然とその人に合った速さになります。
速歩きすると、たまに軽い筋肉痛を起こす人がいます。
普段使っていない筋肉が使われているだけなので心配しないで大丈夫です。
しかし、痛みが続く時は、運動量を減らすなど様子を見ます。
場合によっては医療機関を受診してください。
中強度の運動の計測には、身体活動計(活動量計)をお勧めします。
数千円からあり、歩数の他、指定した強度の運動を行った時間も表示されます。
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まずはプラス2000歩
ウオーキングの効果は2ヵ月で現れます。
最近の研究で、一日20分ほどの中強度の運動を2ヵ月続けると寿命をコントロールする長寿遺伝子のスイッチが入るということが証明されています。
遺伝子レベルでも変化が起こるのです。
最終的に「8000歩/中強度運動20分」に到達したいところですが、蕉らず2ヵ月ごとに運動量を増やすイメージで取り組んでください。
増やし方は、量、質の順番で上げていくのが理想です。
まずは、1週間ほど普段の歩数を計測。
最初の目安はプラス2000歩です。
2000歩というのは、無理なく取り組める数であると同時に、2000歩増えると次の病気の予防に進むからです。
目標の歩数に1週間ほど取り組んで、クリアすることに慣れたら、歩数に合わせて中強度の運動時間を増やしてください。
速歩きは、1回で目標時間を超えなくても、1日の合計で構いません。
10分が目標であれば、5分+5分でも、3分+3分+4分でも問題ありません。
1週間を意識して
人には三つの活動周期があります。
各周期でウオーキングを取り入れると長続きしやすくなります。
一つ目は、2~3日に1回は訪れる゛外出の周期゛。
二つ目が1週間、最後が1年の周期です。
普段、遠出をしない人でも、買い物など数日に1度行う習慣があります。
日頃の歩数がなかなか目標を超えない時は、外出をうまく使って歩数を稼ぐといいでしょう。
゛歩数のために歩く゛では、楽しみが少なく、なかなか続きません。
「服を見に」「安いスーパーまで」といった時に゛速歩きをしてみよう゛というのが良いと思います。
調査では、性別や年齢、運動習慣の有無を問わず、ほぼ全ての人に1週間の周期があることも分かりました。
日別だと天候や仕事で歩数は増減します。
週平均で目標を超えることを目指しましょう。
年間周期では、
日が短く寒い冬は活動量が一番落ちやすく、夏は暑さで中強度の運動が減る傾向にあります。
冬、夏は無理をせず、春、秋に多めに動くのも良いと思います。
夕方の速歩きで快眠効果
一日の中で、中強度の速歩きに適した時間帯は、夕方です。
体温には24時間のリズムがあって、夕方の4~6時が一番体温が高くなります。
この時に運動をするとピーク時の体温が上がり、快眠にもつながります。
就寝前1時間以内は、体が寝る準備をしているので、中強度の運動は避けた方がよいです。
起床後1時間は中強度の運動を、やらないでください。
一般的に起床後1時間以内は、心筋梗塞や脳卒中など、心血管系の異常が多く発生しています。
血液は就寝中の発汗で水分を奪われドロドロ状態になっているので、運動すると危険度が増します。
朝に運動する場合、起きたら水をコップ1、2杯飲んでください。
水は20、30分ほどで小腸にたどり着き、吸収され始めます。
できれば、食事も取り、起床後1時間過ぎてから、
ゆっくりと歩き始めてください。
体が温まってきたら、速歩きに移り、最後もクールダウンして終わるようにします。