近年、大人のための塗り絵に関する書籍が注目されています。
手軽に始められる趣味として、また認知症の予防として高齢者にも人気です。
そこで、こちらでは塗り絵の効果や実践法についてご紹介していきたいと思います。
塗り絵が認知症の予防になる訳
なぜ塗り絵が高齢者の認知症の予防になるのか、少し詳しく説明したいと思います。
大脳は主に「前頭葉」「側頭葉」「頭頂葉」「後頭葉」の四つに分かれますが、塗り絵の行程には、それぞれの部分を刺激する内容が含まれているのです。
前頭葉は、一時的に記憶をとどめる″黒板″のような働きをします。
年齢を重ね高齢者に成ると、この力が徐々に弱くなり、一度に複数のことができなくなっていきます。
どの色を使うか考えたり、塗る順序を立てたり、実際に指先を動かしたりする、この全てが前頭葉を刺激します。
側頭葉は、過去の記憶やそれに伴う感情を出し入れする場所。
塗り絵のデザインを見て、過去の記憶を思い出し、懐かしさを感じるときにうここが活発になります。
塗り絵を進めていく中で、全体のバランスが良くなるように構図を考えたり、色の強弱・明暗をつけたりするときに刺激されるのが頭頂葉。
色を塗っている間、絶えず刺激されています。
そして、目から入ってくる情報を集めて塗り絵に生かすのが後頭葉の働き。
さまざまな色を見たり、完成したものを確認したりすることで、活性化します。
認知症予防度の研究でも、アート作品の制作は効果が高いといわれています。
油絵や彫刻ほどハードルが高くなく、誰でも手軽に始められるのも、塗り絵をオススメするポイントです。
最初は簡単なもので、毎日続るのが大事
脳のトレーニングとして大切なことは、毎日10分でもいいので続けることです。
すぐ始められて、すぐに片付けられるのも、塗り絵の特長。
生活リズムの一部となるよう、家事の合間や寝る前など、時間を決めてしまうのもいいでしょう。
一言で塗り絵といっても、子どもでも楽しめる簡単なものから、繊細で大人でも時間がかかるものまであります。
″塗り終わった!″という達成感も、継続には大事なポイント。
まずは簡単なものから始めてみましょう。
塗り方は、強弱をつけたり、明暗をつけて立体感を出したり、さまざまなテクニックがありますが、最初から技術面にこだわる必要はありません。
濃く塗るのも薄く塗るのも個性。
童心に帰って、思い思いに塗ってみてください。
少しずつ色を増やしてステップアップ
高齢になるにつれて、使う色が少なくなりがちです。
最初は、3~6色くらいの限られた色で始めつつ、徐々に使う色の幅を広げていくといいでしょう。
1枚完成したら「もう少し難しいものを」「次はもっときれいに塗ろう」と、ステップアップする気持ちを忘れずに。
慣れてくると、絵柄の無い部分も含めて創意工夫をするようになり、立派な芸術作品になっていくものです。
高齢者向けの塗り絵はこちら
外に出るきっかけに
″普段はテレビを見る以外、特に何もしていない″という高齢者は少なくありません。
この行動範囲の狭さが、認知症を進める要因になります。
塗り絵も屋内でやるので、行動範囲は広がらないのでは?と思うかもしれませんが、そうではありません。
塗り絵を始めると、普段の生活にも変化が。
葉っぱの色を観察するようになったり、影の感じが気になったりと、外出するきっかけに。
近所の道ですら、全てのものが新鮮に見えてくるのです。
こういう視点の変化は、脳へのとても良い刺激になります。
花を見に出掛けたり、題材となっている景色の場所へ旅行したりするのもオススメ。
塗り絵が完成したら、人に見てもらおう
また、塗り終えたら、ぜひ人に見せてください。
一番いいのは褒めてもらうこと。
褒められると脳細胞が増えるということも分かっています。
夫婦で一緒に塗って褒め合ったり、孫と一緒に楽しんで家族に見せたりできれば、楽しさも倍増。
家族が遠方に住んでいる人は、はがきサイズの塗り絵もあるので、それを送るというのも、一つのアイデアです。
さらには、塗り絵サークルなどで交流を深めたり、コンテストに応募したり、塗り絵を始めることで、新たな刺激に出合えるチャンスは広がっていきます。